「有名な投資家が薦めていたから」「検索したら『詐欺ではありません』と出てきたから」——そう思って振り込んだお金が、実は戻ってこないかもしれません。2026年8月7日、経済産業省・警察庁・金融庁・消費者庁・デジタル庁・総務省・法務省の7府省庁が合同で、SNS各社に「なりすまし詐欺広告」への対策強化を要請しました。なぜ今、国が動いたのか。そして私たちは何を確認すればいいのか、具体的に整理します。
この記事のポイント
- ✅2026年上半期の投資詐欺被害額は約797.9億円、特殊詐欺全体では前年同期比+51.7%と過去最多ペース
- ✅2026年8月7日、国が7府省庁合同でSNS運営事業者に対策強化を要請したばかり
- ✅検索結果に出る「詐欺ではありません」という文言すら偽装される新しい手口が確認されている
- ✅なりすまし広告を見分ける3つのチェックポイントと、怪しいと思ったときの相談窓口を紹介
なぜ今「なりすまし詐欺広告」がここまで問題になっているのか
なりすまし広告とは、著名人や実在企業の顔写真・ロゴを無断で使い、SNS上に表示される偽の広告のことです。クリックすると本人になりすましたアカウントに誘導され、雑談で信頼関係を築いたうえで「必ず儲かる」投資話や暗号資産への送金を持ちかけられる、という流れが典型的です。
💡 被害額は半年で1,816億円
警察庁によると、2026年上半期の特殊詐欺の認知件数は22,031件、被害総額は1,816.2億円で前年同期から+51.7%と大幅増。このうち投資詐欺だけで約797.9億円、ニセ警察官等をかたる手口が約507.9億円を占めています。1日あたりの被害額は約10億円という計算です。
被害の急増を受け、2026年8月7日に経済産業省・警察庁・金融庁・消費者庁・デジタル庁・総務省・法務省の7府省庁が合同で、SNSを提供する大規模事業者に対して広告審査体制の強化などを文書で要請しました。国がここまで足並みをそろえて動くのは異例で、それだけ被害が深刻化しているということです。
検索結果の「詐欺ではありません」も信じてはいけない理由
「怪しいと思って検索したら、公式サイトらしきページに『詐欺ではありません』と書いてあった」——実はこれ自体が新しい詐欺の手口である可能性があります。
📘 「SEOポイズニング」という仕組み
一部の詐欺グループは、企業サイトのサイト内検索機能を悪用し、「○○は詐欺ではない」という文言を含むページを大量に生成して外部からリンクを貼ります。検索エンジンがこれを拾うと、正規企業のドメインと一緒に肯定的な文言が検索結果に表示され、さらにAIによる検索要約機能まで「詐欺ではありません」と誤って生成してしまうケースが報告されています。
つまり「検索結果に出てきたから」「AIがそう言ったから」は、もはや安全の根拠にならないということです。検索エンジンやAI要約も、悪用されうる情報源のひとつに過ぎないと考えておく必要があります。
なりすまし投資広告を見分ける3つのチェックポイント
専門家や警察が繰り返し呼びかけている確認ポイントは、次の3つに集約できます。
①本人の公式アカウント・公式チャンネルで同じ発言や動画があるか確認する
著名人の推薦動画を見たら、本人の公式SNSや公式YouTubeチャンネルに同じ内容が投稿されているか必ず確認しましょう。ディープフェイク技術で本人そっくりの偽動画を作ることが容易になっており、動画があるからといって本物とは限りません。
②振込先の口座名義を確認する
振込先が個人名義だったり、振込のたびに口座が変わったりする場合は、詐欺を強く疑うべきサインです。正規の金融商品取引業者であれば、法人名義の口座が基本です。
③その業者が金融庁登録業者か検索する
勧誘してきた「投資アプリ」「暗号資産取引所」などが、金融庁に登録された正規業者かどうかを確認しましょう。ただし前述の通り検索結果自体が汚染されている可能性もあるため、金融庁の公式サイト内の登録業者一覧など、一次情報源で直接確認することが重要です。
⚠️ 「元金保証」「必ず儲かる」は詐欺のサイン
投資である以上、元本が保証されることはありません。「元金保証」「必ず儲かる」「今だけ特別に」といった言葉で勧誘してくる時点で、金融商品取引法に反する不適切な勧誘である可能性が高いです。家族や友人が同様の話を持ちかけられていたら、迷わず声をかけてあげてください。
怪しいと感じたら、ひとりで判断せず相談窓口へ
少しでも「おかしいな」と感じたら、お金を振り込む前に相談することが被害を防ぐ一番の近道です。警察相談専用電話「#9110」であれば、事件化するかどうかにかかわらず相談できます。名前を明かしたくない場合は、警察庁委託の匿名通報ダイヤル(tokumei24.jp)も利用できます。また、金融庁もSNS上の投資詐欺が疑われる広告についての情報受付窓口を設けています。
📋 なりすまし詐欺広告 早わかりまとめ
| なりすまし詐欺広告 早わかりまとめ | |
|---|---|
| 被害規模 | 2026年上半期の投資詐欺被害額は約797.9億円 |
| 国の動き | 2026年8月7日、7府省庁がSNS事業者へ対策強化を要請 |
| 新手口 | 検索結果やAI要約すら「詐欺ではない」と誤表示されうる |
| 確認先 | 本人の公式チャンネル・振込先名義・金融庁の登録業者一覧 |
| 相談窓口 | 警察相談専用電話「#9110」、匿名通報ダイヤル、金融庁受付窓口 |
結局どうすればいい?
結局のところ「著名人が薦めている」「検索したら安全と出た」という情報だけでは、投資話の真偽は判断できない時代になっています。本人の公式発信・振込先名義・金融庁の一次情報という3点を必ず自分の目で確認し、少しでも違和感があれば振り込む前に「#9110」へ相談する。この一手間が、大切なお金を守る最後の砦になります。
まずは家族や身近な人にも、このなりすまし広告の手口を共有することから始めましょう。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
